顧繍

顧繍

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顧繍は、明代の松江府出身の進士・顧名世の家族、特にその女性たちによって創作・発展・伝承された刺繍芸術であり、中国において唯一、家名を冠した刺繍流派です。400年以上の長きにわたる歴史の中で、幾多の浮き沈みを経験してきました。

顧名世は当時の上海県城内(現在の九畝地・露香園路付近)に庭園を築き、「露香園(ろこうえん)」と名付けました。この庭園にちなみ、この刺繍は「顧家刺繍」、「露香園顧繍」、「顧氏露香園繍」などとも呼ばれています。

明代崇禎年間の『松江府志』には、「顧繍は方形の布に花鳥を、香囊には人物を精巧に描く。他の地方には見られない技法である」と記されています。特に、顧名世の孫の嫁・韓希孟による作品は、深い文化的・芸術的価値を有し、現代では貴重な文化財として、各地の博物館に収蔵されています。

明末において顧家が衰退したことを契機に、顧繍は士大夫階層を離れて民間へと広まりました。松江地域の多くの女性たちがこぞってその技術を学び、「顧繍」の名称は江南地方の刺繍を代表する呼称となりました。その影響は、蘇州、南京、杭州、湖南、四川など広範囲に及び、顧名世は「刺繍の祖」として尊敬を集めました。

顧繍の真髄は、「針を筆に、糸を墨に見立てる」技法にあります。歴代の名作を手本とし、絹糸で山水、人物、花鳥を生き生きと描き出します。その作品は極めて精緻でありながら優雅で、「絵画刺繍」と称され、芸術性の高さから世界的に知られています。清代の四大名繍にも多大な影響を与えました。

このように顧繍が驚異的な完成度を誇るのは、刺繍を担った女性たちの深い文化的素養、洗練された題材の選択、素材の精選、革新的な針法、日を選んでの刺繍と根気強さなどの要素が見事に融合していたからに他なりません。その結果、絵画と刺繍が一体となった芸術世界が実現されたのです。

中国語原文の出典:
https://www.ichshanghai.cn/